HOME ReportLive Report「IMAIKE GO NOW 2018」2018/03/25

「IMAIKE GO NOW 2018」2018/03/25

ごーなう寄席(PARADISE CAFE 21 / 13:30〜16:30)

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IMAIKE GO NOWでは初の取り組みとなった「ごーなう寄席」。手品師や漫才師、落語家など計8組が会場に集結し、極上のエンタメ・ショーを開催した。

1組目は「マッハ金太郎」が登場。カートマジック等で笑いと驚きを生み出すと、続いて「仏ボブ」が“お笑い芸人っぽい出演アーティスト”というネタ(例:東京カランコロンなど)で観客を沸かせた。3組目は「全力フィルダースチョイス」が“同窓会”“子育て”などをテンポ良く披露。続く「劇団んいい」は本格コントで個性的なキャラクターを演じ会場を盛り上げた。

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マッハ金太郎
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仏ボブ
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全力フィルダースチョイス
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劇団んいい

そして本企画の主催である落語家「雷門獅篭」が登場。“初めての落語講座”をはじめ、“ロック坊主”など音楽ファンに合わせた演目を披露した。想像力が笑いを生む、という落語の魅力を観客は存分に味わったことだろう。

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6組目は「ウェイウェイズ」が会場を巻き込んだ漫才を展開。サンドウィッチマン好き・オレンジ好きのお笑いファン2人を度々イジるのがおかしい。続いて現れた「よしおかつかさ」は痛快だった。腹話術師であるにも関わらず、持ち時間の半分はトーク。その内容が実にくだらないのだが(うつが改善されると性欲が出てくるetc)、だからこそおもしろい。歯に衣着せぬ物言いが爆発的にウケていた。

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ウェイウェイズ
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よしおかつかさ

トリは東京から立川流の真打、立川こしらが登場。ちょっぴり毒舌のトークもおもしろいが、やはりさすがは立川流、落語がずば抜けて楽しい。演じたのは古典落語のひとつ「短命」だ。キャラクターの声色、振る舞い、表情をいきいきと表現し観客を魅了した(ちなみに立川こしらは音楽にも造詣が深く、なんとムーンライダーズのギタリスト・ヴァイオリニストと組んでフジロック2013に出演したこともあるそうだ)。

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終演後、雷門獅篭は「ごーなう寄席をM-1ならぬ名古屋の“N-1”にしていけたら。今日は伝説の1回目です」と笑顔で話していた。冗談半分かもしれないが、この日この場を体感した者の一人としては、ぜひとも次を期待したいところである。

(文:東憲吾 写真:浅井良樹)

 

EASTOKLAB (valentine drive / 17:10〜17:50)

昨日に引き続き、2度目のステージとなるEASTOKLABがValentine driveに登場。シンセサイザーの音色がこだまする中、客電がゆっくりとしぼられていき、レトロな照明と電飾が灯ると「Invisible Me」からライヴがスタート。まるで映画のワンシーンみたいなロマンチックな景色から、自然と音楽が聴こえてきたような始まりだった。

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決して詰め込むことなく、でも物足りなくもならない。そんな絶妙な引き算で余白を残しながら構成されたサウンド。どっぷりと浸るよう身を委ねれば、無意識のうちに張り詰めていた気持ちがほどけていく。ドラムパッドが活躍した「Dreamed」、タンバリンに軽やかさを感じた「Blue Years」など、サウンドの素材を少しずつ変えながら、じわりじわりと熱量を蓄えていった。

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4月29日にNew EP『Each Definition』をリリースした彼ら。Hayato Hioki(ヴォーカル/シンセサイザー/ギター)は今作を“リスタート”と表現した。長く活動を続けていれば時にマンネリすることもあるけれど、自分たちの音楽がかっこいいんだ!という気持ちは忘れたくない。そんな初期衝動に立ち返り、そして改めて進んでいく決意を込めたという。

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そんな新しいEPから披露された新曲「In Boredom」、「Oprress」、「New Sunrise」。Hiokiは手ぶりを交えながら、地声をファルセットを自在に使い分け、時折フロアに目をやりながら、緩やかに、でも着実に高まっていく緊張感を確かめる。明瞭なリズム感を出しつつも、音がじわーっと染み込み、サウンドの波間を漂っているような不思議な感覚を味わった。

一段と洗練されたEASTOKLABの音楽に上品に酔いしれた時間。「美しい音楽をやりたい、美しいものを見せたいと思ってやっています」という言葉通りの、芸術的なステージだった。

セットリスト

1. Invisible Me
2. Temperatura
3. Dreamend
4. Blue Years
5. In Boredom
6. Oppress
7. New Sunrise

(文:岡部瑞希 写真:浅井良樹)

 

佐々木亮介(a flood of circle)(PARADISE CAFE 21 / 18:30〜19:10)

ステージに登場するなり大歓声で迎えられたのはa flood of circleの佐々木亮介。景気良くギターをかき鳴らし、IMAIKE GO NOWオリジナル楽曲であるその名も「imaike Blues」からライヴがスタート。<やろうぜ宴会 今からここがパラダイス>、<やるせないときはブルースがいい>など粋なフレーズの数々に、「その通り!」と言わんばかりにオーディエンスがいちいち歓声をあげる。佐々木とオーディエンスとがまるで会話をしているようだ。続く「Blanket Song」では<今日は俺と君で名古屋に乾杯>と歌い変え、演奏後にはマネージャーから差し入れられたビールをグビッと一口。出だしから場内は和気藹々とした雰囲気に満ち溢れた。

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「昨日覚えたての曲があるので」と言って始まった「はじめてのチュウ」(安心パパ)では、革ジャンを身に纏ったロックンローラーが何度も<チュウ>と歌うのが可笑しくて思わず笑ってしまった。続く「Running Outta Love」(Kodak Black)や「エネルギヤ」(the pillows)もカバーではあるものの、そのことを忘れてしまいそうなほど、佐々木の色に染め上げられおり、原曲の持ち味に彼の魅力がプラスされた贅沢な演奏だった。

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「やりたい曲が増えてきちゃった。あと何曲できるかなー」などと名残惜しみながらa flood of circleの楽曲から「Wink Song」と「花」を披露。〈心配ないぜ〉、〈世界は素晴らしい〉などのフレーズは一見シンプルだが、佐々木が歌うと「本当にそうなんだ」と思える。そんな絶対的な安心感に包まれていく感覚は、まるで魔法みたいだった。

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そしてラストナンバー「フィイト!」(中島みゆき)へ。楽曲終盤に向かって緊張感と熱量は高まり、大サビで佐々木がマイクをはね除け立ち上がった瞬間、オーディエンス全員が全神経を集中させて彼の声に耳を澄ませているのが分かった。生の声で力の限り歌い上げた〈ファイト!〉というメッセージ。呼吸をするのを忘れてしまうほど、熱いパフォーマンスに魅せられた時間だった。

セットリスト

1. Imaike Blues ※オリジナル
2. Blanket Song(佐々木亮介)
3. ホットチョコレート(a flood of circle)
4. はじめてのチュウ(あんしんパパ)
5. Running Outta Love(Kodak Black)
6. エネルギヤ(the pillows)
7. Wink Song(a flood of circle)
8. 花(a flood of circle)
9. ファイト!(中島みゆき)

(文:岡部瑞希 写真:浅井良樹)

 

鈴木実貴子ズ(PARADISE CAFE 21 /19:40〜20:20)

PARADISE CAFE21の2日間を締める大トリに抜擢されたのは、名古屋の2ピースバンド・鈴木実貴子ズ。1曲目は「あきらめていこう(仮)」でスタートし、力強いロックサウンドが会場に響き渡った。鈴木の歌声は幽玄で悲しげで、だが根底にマグマのような熱を感じる。2曲目「平成が終わる」では疾走感のあるビートにその歌声が乗って、歌い手の切実な思いがダイレクトに伝わってきた。歌詞は血が通った生々しいもので、体の一部を削り取って書かれたような言葉には強い説得力があった。

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「いま桜がけっこう咲いてきていて。それを見るとがんばろうと思います。死んだ人の魂は土の中にいて、春になると桜になって咲くんだろうって」と鈴木が話すと「アンダーグラウンドで待ってる」をスタート。季節を鮮やかに描写しながら、生と死の距離感をリアルにつづった歌詞が胸に刺さる。〈きれいなものほど消えれば寂し お経じゃなんにも報われないし 花粉のせいだよ涙を拭いて 花見に行こうよすぐに消えるから アンダーグラウンドでまってる〉というサビの筆致に、鈴木の詩人としての才能をひしひしと感じた。

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4曲目は「子どもの頃を思って作った曲」だという「チャイム」を披露。むかし存在していた優しい時間を〈もどれないよな〉と振り返りつつ、それでも今は〈やるしかないんだろ〉と前を向く姿勢が潔い。続いて「アホはくりかえす」を披露した後、最後に「都心環状線」を演奏してステージを去った。が、間髪入れずに手拍子が起き、すぐに二人は再登場。ラストナンバー「なくしたもん」を始めた。

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歳を重ねるにつれて増えた数々の葛藤、そのすべてを“いつか愛せるように”と歌う鈴木の姿に、同じ思いを抱える人はどれほど救われただろうか。ネガティヴをポジティヴに昇華することがロックの一つの役割とするならば、鈴木実貴子ズは正真正銘のロックンロール・バンドだ。そう断言できるほどに、胸を強く打たれたライヴだった。

(文:東憲吾 写真:浅井良樹)

 

Official Site

http://imaikegonow.com/

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