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コトリノループトリノ(東海アーティストレコメンド 2017)

やわらかくて、心地よい説得力

〈人生に一つだけ 目的があるなら〉――あるバンドの曲を聴いていたらこんな歌詞が耳に飛び込んできて、ふと作業をする手が止まった。自分の人生に目的があるとしたら、一体それはどんなものだろうか。

この歌詞は、東京と名古屋を拠点として活動している”コトリノループトリノ”というバンドの「世界に」という曲の一節。ちょっと覚えづらいバンド名と同様に、彼らの曲はどこか一筋縄ではいかない。「世界に」は、不穏なイントロと〈最近のニュース一覧 どれを押しても騙された気分〉と、世界を憂うような曲調で始まる。しかし曲が進むと、徐々に明るい音色が広がっていく。決して派手なわけではないけれど、あたたかな体温を持った曲だ。なかでも中川浩輔(ヴォーカル/ギター)の伸びのある声で歌われるサビは、一度聴いたら忘れられない心地よさを持つ。

前述の「世界に」が収録された会場配布音源『birth』の2曲目は、「バタフライ」という曲。こちらは、しとしとと降り注ぐ雨のようなギターと、ゆったりと曲を進めるドラム・ベース、さらにストリングスの音が広がりを与えている。少し明るい響きになったり、かと思えばすぐにまた寂しげなコードになったりと、予測不能な色気を纏ったギターに耳を取られていると、今度は〈君のことハッピーエンドで終わらせたくはなくなったんだ〉〈結末を見据えて墓場へ 共に力尽き果てよう〉という歌詞にハッとする。吸い込まれそうな程の魅力を持った、苦しくて、そして美しい愛の歌だ。

冒頭で紹介した「世界に」の一節に続けて、中川はこう歌う。〈人生に一つだけ目的があるなら 僕は主人公 世界を創ることだ〉――大風呂敷を拡げた訳だけれど、やわらかな声で言い切るのを聴くと、きっとそうなのだろうと思える。『birth』に収録された他の楽曲も同様で、彼らの音楽には不思議な説得力があるのだ。これから彼らが創っていくであろう世界を、今からしっかりと見つめていきたい。

 

コトリノループトリノ

2015年6月、東京にて結成。元は中川浩輔(ヴォーカル/ギター)、村田隆嘉(ギター/コーラス)、崎谷勇人(ドラム/コーラス)の3名で活動をしていたが、2016年4月より竹村拓馬(ベース)が加入し、現在の4ピース体制に。2015年9月より、4曲入りCD『birth』をTOWER RECORDSやdisk union各店舗、ライヴ会場にて無料配布中。SoundCloudでは、同作の全曲フル試聴が可能。また、同作の1曲目「世界に」のPVを2016年2月よりYouTubeにて公開している。中川と村田は名古屋出身であり、地元への思い入れも強いという。現在は東京・名古屋を中心に活動中。

Official Site

http://www.kotorinolooptrino.com/

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