HOME MusicInterview九十九 初の全国流通ミニアルバム『GIRL MEETS BOY』インタビュー

九十九 初の全国流通ミニアルバム『GIRL MEETS BOY』インタビュー

九十九(つくも)は2014年、愛知県岡崎市にて結成されたロックバンド。紅一点まめ子の直情的なヴォーカル、衝動的かつ爆発力のあるサウンドで注目を集める平均年齢23歳の4人組だ。

今回は初の全国流通ミニアルバム『GIRL MEETS BOY』のリリース日である2017年5月31日にインタビューを敢行。「メンバーに出会って人生が変わった」とまめ子が語るように、アルバムタイトルは九十九というバンドそのものを表している。バンドの始まりやそれぞれの音楽ルーツ、アルバムにまつわる4人の言葉は、バンドのこれまでとこれからを紐解くテキストになった。

終盤登場するSAKAE SP-RING 2017への意気込みに関して、既にイベントは終わっているが彼らのライヴへの姿勢が表れているのでそのまま掲載している。後日掲載のレポートと合わせて読んでほしい。

(インタビュー、文:青木美穂 写真:永縄貴士 画像作製:笠原幸乃)

メンバーに出会ったことで人生が変わった


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酒井健太郎(ベース)

――バンドの生い立ちから聞かせてください。元々、まめ子さんと三人は違うバンドだったそうですね。

酒井健太郎(ベース):僕らが組んでたバンドが解散することになったんですけど、僕はバンドを続けたかったので牧を誘ったんです。で、メンバーを探してるときに岡崎CAM HALLでまめ子がライヴしているのを観て「なんなんだ彼女は?」って衝撃を受けて。こんな小柄なのにすごいパワフルな声とパフォーマンスで、彼女が牧の曲を歌ったらすごいバンドになるだろうなって、僕がまめ子を引き抜いたのが始まりですね。

まめ子(ヴォーカル/ギター):引き抜かれました(笑)。当時はバンドは趣味程度でいいと思ってたので半年は断り続けてたんですけど…。健太郎に誘われるってことは、バンドで将来を見据えることになるってわかっていたので、そこまでの責任は追えないなって。でも解散ライヴを観たとき、牧と健太郎が「俺らはまだ音楽やってたい!」というすごく前向きというか、未来を見てる感じのステージングだったんです。それでこの二人に引っ張られてみたいと思って「やります」って返事をしました。

――引き抜きのきっかけになったライヴでは、まめ子さんはメインヴォーカルではなかったんですよね。

まめ子:そうです。それまでは楽器に触れて、バンドに携われればいいって感じだったのに、九十九に入ったらヴォーカリストとして、バンドの顔として、責任感を背負わされてます(笑)。

――バンドへの意識も担当パートも、二人に出会ったことでガラっと変わったんですね。

まめ子:そうですね、人生変わりました。

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まめ子(ヴォーカル/ギター)

――フックを感じるバンド名ですが、由来は何ですか?

牧孝奎(ギター) :割と日本語が好きなのと、横文字のバンドって多いなと思ってて。たまたま見つけた単語なんですけど、パッと見で読めない記号っぽさとか、まさにフックを狙えるなと思ってつけました。

まめ子:“つくも”って音の響きがすごいキレイで、ライヴでこれから自分が言うことを考えたら、これがいいなと思って。“つづら”とも読めるって牧が言ってたけど、絶対噛むからヤダ!って頑なに拒否しました(笑)。

:つづらだったらここまでこれんかったかもね(笑)。

――つくもになって良かったです(笑)。女版9mm Parabellum Bulletとの呼び声も高いですが、それぞれの音楽のルーツを教えてください。

まめ子:私は洋楽ばっかり聴いてました。Paramoreが好きで、女性ヴォーカルのHayley Williamsのパフォーマンスがすごくかっこいいんです。ステージ上を走り周ったりのたうちまわったり、今の私のステージングもかなり影響されてます。

野村卓馬(ドラム):僕がメンバーのなかで唯一通ってるだろうジャンルは、ジャズとかファンクとかフュージョンとかですね。ノリが良くて、歌がなくても成り立つインストバンドとか、そういうのがルーツにあります。

健太郎:僕はLUNA SEAのベースのJさんが本当に大好きで。ベースって地味に見られがちな楽器だけど、そういう概念をぶっ壊してくれた存在で、今でもすごい憧れです。

:僕は期待通り、9mmが大好きで。高校の時に観た9mmのギタリスト(滝善充)のパフォーマンスがすごくて…。それがバンドを始めたきっかけなので、今度は自分がそう思われるようなギタリストになりたいですね。

 

とうとうXデーを迎えたんだなという気持ちと、やっとスタートラインに立った気持ち


――初の全国流通版リリース当日を迎えて、どんな気持ちですか?

まめ子:曲を作ってから形になるまでの時間がすごく長かったので、とうとうXデーを迎えたんだなって気持ちです。バンドやってることを知らなかった地元の友達から連絡がきたりして、ちょっと誇らしいですね。でも、まだまだこれからです。やっと始まったなっていう。

健太郎:今まで地元のバンドや同世代のバンドが先にデビューするのを見ててすごい悔しかったし、羨ましくて―。

(卓馬のお腹が鳴る)

――(一同爆笑)

まめ子:すごい良い話してるときに(笑)。

卓馬:すいません(笑)。

健太郎:(笑)。自分のCDを全国のお店に置いてもらうのはひとつの夢だったので、ぐっときちゃいますね。友達とか親とか、いろんな人におめでとうって言ってもらえて、純粋にすごく嬉しかったです。その分、恩を返していかなきゃなって。

――卓馬さんはどうですか?

卓馬:色んな人がおめでとうとか頑張れと言ってくれる分、しっかりせなかんなあと。次の作品にすぐにでも取り組んで、もっといいものを作っていきたい。今すごくモチベーションが高いですね。

:さっきまめ子が言ったみたいに、スタートラインにやっと立てたっていう感じです。モチベーション的には変わらないというか、これからもかっこいい音楽をつくって、かっこよく演奏して届けるっていう基本的なところは変わらないし。もっと洗練して、これからより頑張っていくんでお願いしますって感じです。

――ここまでの道のりを振り返ってみていかがでしょうか。

健太郎:デコボコ道だったよね。

まめ子:ここまで来るのにメンバーチェンジがあったり、曲ができない時期とかもあって結構波はあったんですけど、このメンバーでやっていれば誰かが見つけてくれるんだろうなって根拠のない自信はありました。

:簡単ではなかったですね。色んな人に助けてもらってここまで来れました。ドラムが不在になっちゃったタイミングがあったんですけど、すぐ「叩くよ」って言ってくれた仲間がいたのもデカかったし。もしそのことでバンドが止まってたら、モチベーションを維持するのは難しかったと思う。

まめ子:そのサポートメンバーがいなかったらここまでこれなかったよね。本当に恵まれた環境だったと思います。

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牧孝奎(ギター)

 

『BOY MEETS GIRL』だけじゃない、女の子が主体の『GIRL MEETS BOY』


――曲作りについて教えてください。まず曲が先にあるんでしょうか?

まめ子:そうですね。細かいイメージはゼロの状態で牧が曲を持ってきてくれるので、そのタイミングで私が一番心奪われてることを書く感じです。

――メンバーの皆さんはまめ子さんの歌詞を読んで思うことはありますか?

健太郎:抽象的だな~って…。

まめ子:もっと良いこと言ってよ(笑)!

卓馬:「電光石火」は歌詞カード見て、<息をしてみる金魚鉢の中で>…こえーなって思いました(笑)。

――「電光石火」はアルバムの一曲目で、バンドのイメージを印象付ける曲ですよね。荒波にもまれるMVもライヴの激しさを想起させます。

まめ子:あのMVはもっときれいな画というか、もうちょっとオシャレ系になる予定だったんです。なのに行ってみたら会話も聞き取れないレベルで海が荒れてて(笑)。歌ってる最中に後ろから波に飲み込まれたりして、「あ、死ぬかも」って。人生で一番つらかった(笑)。

――楽器は無事だったんでしょうか。

卓馬:僕、終わりましたね…。一週間後にケースあけたら全部錆びてました。

まめ子:かわいそう(笑)。

健太郎:潮が満ちてきちゃったんだよね。

卓馬:風が強すぎて、シャーってミストみたいになってたんですよ。でも最初のMVは自前のドラムセットで撮りたかったので、悔いはありません(笑)!

まめ子:その割にずっと文句言ってたよね(笑)。

卓馬:健太郎は拭くの手伝ってくれてめちゃ優しかったけど…牧(笑)!

:俺も初めてのMVだし、メインで使ってる、けっこういいお値段のギターを使ったんです。それでギター回しをしてやろうとぐるっと回したら――スパーンってねじが折れて、めちゃくちゃきれいに砂浜に飛んでって。

健太郎:遠くから見てたんですけど、「牧がギター投げた!あいつやりやがった!」って(笑)。

まめ子:あれちょっと感動したよね。

:カメラの前だから表情には出てないけど、俺あの瞬間「うわ~まじか」ってなって(笑)。なので俺はドラムは拭かず、すぐ直してもらいに行きました(笑)。

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野村卓馬(ドラム)

――裏話をありがとうございます(笑)。では、苦労した曲はありますか?

:「シックスセンス」は単純に演奏が難しいですね。「電光石火」はダッシュすればいいけど、「シックスセンス」はピンポン玉をスプーンで運ぶ競技みたいな技術が必要で。速すぎてもダメだし、遅くすると迫力がなくなる。そういう意味で難しい曲です。

――私は「21st Century Girl」と「ニヒル」がお気に入りなんですが…。

一同:あ~。

:「21st Century Girl」は女子からの支持が圧倒的ですね。

――九十九って衝動性とか激しさがピックアップされやすいと思うんですけど、メロディーの鮮やかさを特に感じる二曲です。

:メロディアスっていうのは意識してますね。

――カラオケで歌っても気持ち良さそうです。

まめ子:これはメンバーにも話してないんですけど、メロウな曲をつくるにあたっては人の耳に入りやすい=歌いやすい曲にしたいという密かなテーマがあったので、そこを評価していただけたのは嬉しいです。

――「スライダー」の切ない歌詞とアレンジのギャップだったり、「ハヤテ」のうっぷんがたまったあげく突き抜けちゃえって感じを聴いてると、ネガティブな感情でも昇華の仕方が気持ちいいですよね。まめ子さんの性格でしょうか?

まめ子:そうですね。バンド自体、割と私のストレス発散みたいなところがあって。強い女性像に憧れがあってバンドを始めたので、そういった意味でも歌詞には日ごろ外には出さないような感情が書いてあります。ポジティブなことが書けないので皮肉たっぷりだったりマイナスなイメージだけど、オケと私の歌詞がそろって、人をスッキリさせられるような曲になってるんじゃないかな。

――アルバムタイトルになってる「GIRL MEETS BOY」は、「BOY MEETS GIRL」の方がメジャーな一文ですよね。これまで相手役だった女の子が主語になっているのは、女子もかっこよくなっていいんだなって思えます。

:まさに。九十九っぽい言葉だし、「BOY MEETS GIRL」だけが何で広まっているんだろう、女の子主体の物語もあるでしょうっていうのを提示したかったんです。

健太郎:ガールとボーイがミーツしてできたバンドなので。今の自分たちのできる全てを詰めたアルバムになってます。

――自分たちのバンド名をアルバムタイトルにするバンドは多いですけど、歴史を含んだ言葉が見つかったっていうのはすごいですね。

 

自分たちがバンドを始めるきっかけになる、バンドヒーローになりたい


――今後の目指すところを教えてもらえますか?

健太郎:今日まで本当に色んな人に助けてもらってこれたので、その人たちにも感謝してやっていかなきゃと思います。あと自分たちが活動することで、バンドを始めるきっかけになる存在になりたいなって思いますね。みんなのバンドヒーローになりたいです。

まめ子:メンバーみんな、色んなバンドに感化されて始めたので、今度は私たちがそうならなきゃっていうのを掲げてやっていますね。最近の音楽シーンって混沌としているイメージがあって、バンドでもオシャレな感じとか踊れるロックが流行ってたりしますけど、それでも私たちが衝撃を受けたのは攻撃的で胸に突き刺さるようなロックなので。もう一回そういうバンドブームを起こせるようなバンドになりたいです。「九十九みたいなバンドがやりたい」って言ってもらえるようになりたいね。

――今週末に迫ったサカスプについて、「実質レコ発ライヴ」という気合のツイートも拝見しました。意気込みを聞かせてください。

卓馬:4月から加入して怒涛のペースでやってきたんですけど―今までどんな経緯でみんながやってきたのかをインタビューを受ける中で知ることができて、身が引き締まる思いです。満を持して大放出して、幕開けできたらなと。

まめ子:去年は初出演だったこともあって、割とフワフワした気持ちというか、お客さんの熱量に負けないようにライヴをしたら気づいたら終わってて。今年はこの時間だけは私たちのモンだ!って見せられるライヴをしたいですね。九十九について全く知らずに、空いてる時間だからとか、名前知ってるから行ってみようかなって方もいると思うので、そういう方に向けてレコ発のタイミングでやれるのはとてもいいなって。

健太郎:純粋にすごい楽しみだし、卓馬が加入して初のレコ発なので気合が入ってます。あと、サカスプって地元の仲間バンドにとっても憧れのひとつだったりするので、仲間の期待も背負ってステージに立つ気持ちです。

:今すごくライヴがしたいんですよね。バンドって、曲作ってレコーディングして売るっていう流れはもちろんありますけど、俺たちが一番やりたいのはかっこいいライヴをすることで。そこだけで生きていけるならそれで生きていきたいってぐらい、ライヴは全身全霊でやってます。音源で知ってもらえたら、次はステージを観に来てもらいたいです。

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ライヴスケジュール

・2017年7月15日(土)愛知/岡崎 CAM HALL

「OKAZAKI ROCK 7DAYS 2017 前哨戦 ~acoustic~ 」
・2017年8月11日(金)愛知/岡崎 CAM HALL

「OKAZAKI ROCK 7DAYS 2017【Wipe your tears】 」
・2017年8月24日(木)愛知/岡崎 CAM HALL

「Girl meets boy,meets TOUR」
・2017年7月8日(土)大阪/三国ヶ丘 FUZZ
・2017年7月16日(日)東京/渋谷 乙-kinoto-
・2017年8月26日(土)愛知/APOLLO BASE

 

詳しくはオフィシャルサイトまで

 

チケットぴあ 中部・北陸

Official Site

http://www.tsukumo2014.com/

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