HOME ReportLive Report「Synchronized Rockers Vol.44」@ Live & Lounge Vio 2017/05/28

「Synchronized Rockers Vol.44」@ Live & Lounge Vio 2017/05/28

日向秀和(ベース・ギター / ストレイテナー、EOR、Nothing’s Carved In Stone、killing Boy)、ホリエアツシ(シンセサイザー / ストレイテナー、ent)、大喜多崇規(ドラム / Nothing’s Carved In Stone)、井澤惇(ベース / LITE)の4名からなるインストゥルメンタル・ロックバンド、FULLARMOR。彼らの約9年ぶりとなる名古屋ツアーが新栄Live & Lounge Vioで開催された。共演にはホリエのソロプロジェクトentと、エレクトロ・ロックバンドのwhite white sistersが登場した。

white white sisters

昨年12月22日にニューシングル『Cruel Girl』が発売されたのだが、なかなかライヴに行けず音源をゲットできなかったので、トレイラーを繰り返し見て(聴いて)いた。そしてこの日、初めてフルバージョンを聴いたら、完全に虜になってしまった。さらに他の新曲も披露した上、東京のR&BバンドMISTAKESの井上まさや(ベース)を加えたスペシャル編成での演奏も行った。観客たちの期待を上回る贅沢なライヴであったことは間違いない。

white white sisters Synchronized Rockers 03

1曲目は近作『SOMETHING WONDROUS』より「Instant Dupe」。深い井戸の底から響いてくるようなドープな電子音をイントロに、平沼喜多郎(ドラム)の力強いビート、松村勇弥(ギター / プログラミング / ヴォーカル)のセクシーな歌声が合わさり、轟音のエレクトロ・ロックサウンドが展開されていく。その広がりとシンクロするように、田嶋紘大(VJ / アートワーク)の手がけるイメージ映像がステージ上の白い壁面に映し出される。幾何学的な模様が生きもののようにうごめいている、と思ったら、目のついたメトロノームがゆらゆら揺れるシュルレアリスム的映像に変わったり。音楽×映像で立ち上がるコズミックな世界観は唯一無二だ。続けて「I.D.」がドロップされたとき、早くも僕は恍惚の表情を浮かべていただろう。

white white sisters Synchronized Rockers 01

そして中盤の新曲タイムへ。音源化されていない4曲を聴いたが、これは新境地ではないかと思った。楽曲の雰囲気はR&Bやファンクに接近した感があり、曲によっては声のようなものをサンプリングしたヒップホップ的アプローチもあった。もちろん楽曲自体はエレクトロ・ロックとしてまとまっているのだが、その根底にはひたすら気持ちよく踊れるダンスグルーヴが流れている。これにはシビれた。ホワホワはいま、新しいモードに突入しているのかもしれない。

white white sisters Synchronized Rockers 02

この新曲タイム中に井上が参加。彼のテクニックあってこそだと思うが、生のベースが入るとこんなに変わるのか…というのが正直な感想だ。骨太な低音はくっきりと響き、それに比例するようにして電子音が鮮やかに鳴る。特に7曲目「Never Ever Land」の変わりようには驚いた。腰下に響くビートの迫力がずいぶん増している。夢うつつにステップを踏めるハイクオリティなサウンドで最高だった。そして、ラストは「Melt With You」で爆音を鳴らしきって終了。本当に驚かされることの多いライヴだった。いまはただひたすらに、次作が待ち遠しい気分である。

 

ent

ゆったりと大きなハットを被り、アコースティックギター1本を携えて登場したホリエ。とてもリラックスしている表情だ。陽だまりのようにあたたかい照明が彼を出迎える。そして美しいエレクトロビートを流し出すと、ギターの優しい旋律と、伸びやかでまっすぐとした美声を重ねていく。ここまでの一連の動作を見て、まるでステージに吟遊詩人がやって来たみたいだな、と思った。

ent Synchronized Rockers 02

「本当に大切なものを見つけたときに、失いたくないという悲しみが生まれる。それを歌った曲をやります」という紹介のもと、3曲目に披露されたのは「悲しみが生まれた場所」。今年1月に発売されたニューアルバム『ELEMENT』からのナンバーだ。温もりと切なさが絶妙に混じり合うピュアサウンドを聴いていると、嬉しいような悲しいような、アンバランスな感情が胸中にせり上がってくる。そして気づくと脳内に、いろいろな顔、景色、記憶…そういったモノ・コトが溢れ出してきて困ってしまった。entの音楽がパーソナルな思い出を想起させたのだ。きっと観客一人ひとりによって、大切なものを見つけた=悲しみが生まれた場所は違うはず。いまここでじっくりと静かにホリエを見つめている観客たちは、なにを思っているのだろう。彼らの頭の中には、いったいどんなイメージが広がっているのだろうか。

ent Synchronized Rockers 01

…とセンチメンタルな気分に浸っていたら、「今日はフルアーマー兄さんに相乗りするかたちで参加しています」という和やかなMCで一転、笑顔にさせられた。自然と会場はアットホームな空気に包まれる。そして「ひなっちと一曲やりたい」とのアナウンスで日向がステージに登場、「Water Screen」を披露した。日向は心地良い低音をていねいに弾き出し、ホリエと息の合った完璧なコンビネーションをみせる。二人が紡ぐ美しい音楽が、再びフロアに行き渡った。

ent Synchronized Rockers 03

最後は「ありがとうございました。この後も楽しんでいってください」と言ってにこやかに去っていたホリエ。この後のFULLARMORでも彼の活躍は存分に見られたわけだが、近いうちにまたソロも見てみたい、という気持ちにさせられる素晴らしいライヴだった。

 

FULLARMOR

9年という年月を冷静に考えると、とてつもなく長い時間のように感じる。ざっくり例えるなら“小学5年生がハタチになるまで”だ。FULLARMORはそれほど長いあいだ動いていなかったわけで、ブランクとかあるのだろうかと(ほんのすこし)思っていたのだが…そんな杞憂は吹っ飛ばされた。この日のFULLARMORは、目を見張るような熱々のステージングを披露してくれたのだ。

fullarmor Synchronized Rockers 02

観客たちの盛大な拍手に迎えられてライヴがスタート。エネルギッシュなインストゥルメンタル・ロックサウンドが投下されてすぐに、メンバーのコンビネーションが抜群に良いことに気づいた。ブランクを感じさせる要素は微塵もない。大喜多の迫力あるビートメイキング、日向の情熱的なパワープレイ、井澤の一糸乱れぬベースライン、ホリエの華麗な鍵盤さばき。それらがカッチリと合わさって、乗り心地の良いグルーヴがつくり出されていた。曲中のアグレッシヴな展開も刺激的で、会場をアゲていく作法も皆しっかりと心得ている。観客たちは“待ってました!”とばかりに歓声を上げ、手を振り、頭を揺らして、その音に身を任せていた。

fullarmor Synchronized Rockers 03

ライヴパフォーマンスもさることながら、MCも大変に盛り上がったことを書き残しておきたい。オニィ=大喜多のアルパカ話、井澤の煮込みカレーうどん話をはじめ、その場で新曲「Cold Studio」に“Blue”という頭文字をつけるという珍場面もあった(ブルーがつく曲をやりたいという意見が出たため)。文章に書き起こすとあまりにも長くなってしまうので割愛するが、フロアには笑いが絶えず、常に幸福なフィーリングが満ちていた。メンバーも観客と同じように感じていたようで、「もう1回ツアーやりたいよね。本当に楽しいから」(日向)、「久しぶりに動いたのに、こんなに多くの人が来てくれて本当に感謝しています」(大喜多)という言葉が自然と出てきていた。

fullarmor Synchronized Rockers 01

そして、終盤になっても演奏の熱量は高く、最後の一瞬に至るまで、彼らはフロアを沸かせ続けた。圧巻のステージングだったと思う。次のライヴはいつになるかわからないが、またFULLARMORが始動したときには、再びたくさんのリスナーが集まることだろう。それほどの魅力がこのバンドにはあるのだから。

 

(文:東憲吾 写真:古川喜隆)

Official Site

http://blog.livedoor.jp/lion5records/

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