HOME MusicInterviewHave a Nice Day! シングル「Fallin Down」&「Fantastic Drag feat.大森靖子」リリース特集【インタビュー前編】

Have a Nice Day! シングル「Fallin Down」&「Fantastic Drag feat.大森靖子」リリース特集【インタビュー前編】

実は今回のインタビューはニューシングル「Fallin Down」と「Fantastic Drag feat.大森靖子」の各楽曲に焦点をあてた内容になるはずだった。しかしボーカルの浅見北斗と会話を進めていくうちに、話は「東京と地方」「ハバナイの特殊性と、フロアとの関係性」「浅見はなぜ私生活が音楽に影響されないのか」など、2017年5月現在の「ハバナイ論」が語られることとなった。

浅見がもともと日本語ラップから海外のパンク、エレクトロミュージックなど、多岐に渡る音楽に造詣が深いことは知っていたが、ある意味このインタビューはそういった知識人とは正反対の“浅見北斗の人間味”が語られている。つまりハバナイのライブで“絶頂の一体感”と呼べるエモーショナルが生まれるのは、ステージに浅見北斗がいるからなのだ。「ハバナイは“東京という街そのもの”」というキラーフレーズには一体どんな思いがあるのか。ここに綴られた彼の“生々しい匂い”がする言葉たちに触れて、ハバナイへの愛着に繋がれば幸いだ。

またハバナイに興味をもったばかりという方は以前のインタビューもチェックしつつ、来たる5月30日の渋谷クアトロでのワンマンライブに足を運んでほしい。

(インタビュー、文:菊池“カフカ”嘉人 インタビュー写真:永縄貴士 ライブ写真:morookamanabu 画像作製:笠原幸乃)


ハバナイは“東京の混沌としていて空虚な空気感”を歌っている。だから、ある場所においてはとんでもなく異質で、異様な存在


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――ニューシングル「Fallin Down」をリリースしました。リリースツアーで地方をまわりましたが、ツアーを振り返ってみてどうですか?

浅見:リリースとツアーを通して、とにかくハバナイがいかに他のバンドと違うかを思い知らされてしまったかな。いろんな意味で得るものは大きかったよ。だから今後の音源のリリースのやり方、ライブのあり方、ハバナイのこれからが明確になったかな。あと地方のツアーについては、かなりいろんなことを考えさせられたな。やっぱりハバナイは音源とライブが切り離せない関係にあるからね。あとは客もだよね。自分でもバンドとフロアの関係性は、良くも悪くもかなり密接な状況を生みだしていると思う。

 

――今回の地方ツアーに同行しましたが、確かにそれぞれの土地によって客の反応の差は感じました。

浅見:もともとハバナイは、音源だけじゃバンドの本質的な良さが伝わらないと思ってて。ライブに来てもらってはじめてハバナイの実態を掴んでもらえるというか。それは『Fallin Down』という曲も一緒でさ。ライブではじめて、曲がどういう雰囲気の中で、どういう風に鳴るかっていうのを見ることができる。ハバナイにとってというか、俺にとってそれがとても重要なことなんだよ。

――僕みたいな地方に住む人はハバナイの存在をライブではなく、まず音源やYouTubeの動画で知るんですよ。そうした時に音源だけでもグッとくるものが確かにあって、だから東京のライブに足を運ぼうと思ったんです。地方のファンは音源だけでもハバナイの本質を捉えていると感じていますよ。

浅見:ああ、それは嬉しいね。今回の『Fallin Down Tour』はGEZANとNOT WONKの3バンドでツアーをまわって、最初の土地がNOT WONKの地元の北海道だったんだけど。そこで彼らの地元である苫小牧に行った時は、東京とあまりに違う世界があって愕然としたね。閑散とした街のシャッター街、巨大なイオンモール、荒廃した駅前の廃ビル、パチンコ屋、工場、市営住宅と。地方では当たり前の風景かもしれないけど、ちょっとショックなレベルだったなあ。その苫小牧でのライブは正直、目の前の客に自分たちの音楽が全く届いてないと感じたよ。

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だからハバナイがある場所においてはとんでもなく異質で、ある種異様な存在なんだってことを肌で感じたね。やっぱりハバナイの音楽は東京の混沌としていて空虚な空気感を歌っているから、苫小牧で歌っていても歌詞が全く機能しなかった感じがした。自分で歌っていても、 “俺は嘘を歌ってるのかな”って思ったよ。でも逆に言えば、ハバナイの歌は同じ風景をイメージできる人にとっては強烈に響く要素を持っているとも思うけどね。


「Fallin Down Tour」ドキュメンタリー
ライブにおけるオレと客が中指を立て合うことや、「客やフロアも含めてHave a Nice Day!」だという感覚はハバナイ特有


――本当にその通りだと思います。だからこそ僕自身がそうであったように、地方のお客さんたちにもハバナイは届くと確信しています。それにある意味、ここまで「東京」や「地方」の性質みたいなモノに影響される音楽って他にないですよね。

浅見:結局、自分の生まれた場所、つまり地方に馴染めなかったり満足できなかった人が東京に集まるわけでしょ。俺も神奈川で生まれた地方出身者だから東京にどっぷりの人間じゃないんだけど、東京っていうのは地方出身者の集合体だからね。ハバナイは東京生まれの都会的な感性ではなくて、地方出身のマイノリティーな集合体だから、そういった感性で成り立っているわけだよ。だからハバナイを東京という街で見てもらえたら、もっと正しく理解してもらえると思ってる。

――去年から積極的に地方でライブをするようになって、より“東京と地方”について考える時間が増えたんでしょうね。ハバナイの音楽はそれと密接に関わっているからこそ。

浅見:昔はハバナイは東京ローカルのバンドだと認識してたんだけど、それは違和感あるなって最近気づいて。

――それはどういうことですか?

浅見:
例えば地方にローカルヒーローと呼ばれるバンドがいて、そういうバンドは客からもバンドマンからもリスペクトされてる。じゃあハバナイが東京のローカルヒーローなのかといったら全く違って、我々はいわゆるバンドマンにリスペクトされていないバンドだから。もっと大げさに言うとハバナイはある意味、“東京という街そのもの”だなと思うよ。東京の街の雰囲気というか。それは色んな矛盾点が音源やライブのすべてに混在しているという意味でもね。特にライブにおけるオレと客が中指を立て合うことだったり、「客やフロアも含めてHave a Nice Day!」だという感覚はそのへんだよね。

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臭いまでは本物と対峙するまで分からないし、ライブの強烈な一体感は“バラバラなエゴの集まり”だから予定調和が成立しない


――ハバナイが絶頂のライブをしている時は、フロアにいる自分たちも「ハバナイの一部」という感覚に確かになります。ステージとフロアが溶解するような感覚になるんですよね。ただ、苫小牧の時のようにステージとフロアが分離してしまう時もあるのがハバナイのドキュメンタリー性なのかなと。満塁ホームランを打つ時もあれば、おもっきり三振する時もあるから追いかけたくなるんです。

浅見:地方に行った時に恐ろしく乖離する感じって、言うなれば視覚じゃなくて匂いなんじゃないかな。渋谷や新宿を歩いてても臭いが記憶に残るじゃん?この匂いを知っているかどうかって、その場所に行ったことのある人じゃないと分からない。地方の人が想像するような東京とはまるで違う、東京の生々しい匂いを放っているのがハバナイなんだなと。それって知らない人にとっては受け入れがたい異物でしかないよね。

――ハバナイが“東京という街の空気感そのもの”、視覚ではなく匂いという事についてもう少し詳しく話していただけますか?

浅見:つまりブルーハーツ風に言うと、“写真には映らない美しさ”ってヤツじゃない(笑)?ドブネズミのビジュアルを知ってる人でも、臭いまでは本物と対峙するまでは分からないじゃん。ハバナイが”ホンモノ”か否かは怪しいところだけど、独自に生成したオリジナルな存在であることは確かだからね。その生成過程で、なぜかフロアにいたヤツらとややこしい共犯関係が生まれてしまった感じかな。まあSNSが存在したから起きた特殊なケースだよね。

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他者と自分がまるで違うと感じることも、違う世界や他人への理解じゃん


――それは地方によく出向くようになったからこそ気づけたという事ですか?

浅見:そうだね。地方に行くと自分たちが何者なのか分かる。苫小牧が良い例なんだけど、バンドも客もお互い受け入れたいと思っているけど、受け入れられないというか。あまりにも違う世界のモノすぎて、お互いの価値観を共有できない。それは悪いことでは全くないんだけどね。他者と自分がまるで違うと感じることも世界への理解じゃん。

――確かにそうですよね。初めは異分子でしかなかったハバナイを理解できた時の快感はスゴいでしょうし。ハバナイのライブは強烈な一体感こそが醍醐味なので。

浅見:我々のライブの強烈な一体感は、“各自バラバラなエゴの集まり”みたいなものだから、予定調和が成立しない面倒臭さがあるね。その不安定で歪な感じが現代的でもあるかなあと。ハバナイは安定していくモノではなくて、常に不安定に続行しているバンドだから。本当は安定しているバンドの方が観る側も安心だと思うんだけど、そういうモノにはなれないし、それをやったら終わるバンドなのかなと。そういう意味では観る側へのユーザビリティは思いっきり欠如してるよね(笑)。

s_558a0117                ライブでの“バラバラなエゴの集まり”の一体感の瞬間

――変化し続けるという意味では、今年の1月からもう一人のボーカルである内藤さんがライブに姿を見せていませんね。

浅見:人間はときと場合によって消失するものなんだよ(笑)。マニック・ストリート・プリーチャーズも失踪したメンバーがいたし、ジョイ・ディヴィジョンだってボーカルがいなくなってニューオーダーになったりと常に変化し続けてきたら、その変化の一部だと捉えてくれって感じだね(笑)。死ぬほどバキバキな熱気にさらされてステージに立つわけだから、色んなプレッシャーがあったのかもしれないね。いつ戻ってくるか分からないからなんともいえないけど、乞うご期待ということで!

s_558a0117    ボーカルの内藤

――5月30日に渋谷クアトロでワンマンライブがあります。これまでのワンマンはO-WESTやWWW Xだったので過去最大規模の会場ですね。大森靖子さんとのコラボシングルも発表されましたし、ハバナイをはじめてみるという人がこれからライブに足を運ぶかもしれません。

浅見:まあオレたちを知りたきゃとりあえず5月30日のクアトロ来てなって感じかな。

(インタビューはFantastic Drug編へ続く)

「Fallin Down Tour Final ~渋谷クアトロ・ワンマン~」


・日時:2017年5月30日(火)
・場所:東京/渋谷クアトロ
・時間:OPEN 18:45/START 19:30
・出演: Have a Nice Day!
・チケット:前売り3,000円  / 当日3,500円
(ローソンチケット、チケットぴあ P325-575、e+にて発売中。
またHave a Nice Day Twitterアカウントでも前売りチケット受付中)

Official Site

http://three6pack.tumblr.com/

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