HOME ReportLive Report「IMAIKE GO NOW 2017」2017/03/25

「IMAIKE GO NOW 2017」2017/03/25

大森貴太(百長)(BL CAFE/15:10〜15:50)

とても心地良い時間だった。と同時に、観客たちにとっては、大森への興味が大いに湧いたライヴだったのではと思う。

百長の楽曲の多くは、三輪友里奈(ドラム/コーラス)を中心として生み出される力強いグルーヴや、大森が鳴らす切れ味鋭いエレキギターの音色などが特徴的だ。ただ、この日の弾き語りを聴いて、楽曲自体の完成度もとても高いということに気づかされた。大森がギター1本と歌声のみで奏でる音はゆったりとしていて聴き心地が良いが、一方でどこか切なさのようなものも感じられる。それは独特で美しいメロディーライン、秀逸なコード進行、伸びやかで熱のこもった歌声、表現に奥行きのある歌詞…などが絶妙に合っているからこそ生まれているのだと思った。大森をじっと見つめ、しずかに耳を澄ます観客たちは、彼が表現するその“切なさのようなもの”を受け取っているように見えた。

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ちなみに百長の楽曲以外に、ある楽曲のカヴァーも披露された。PlayStation2用ソフト『シーマン2』のエンディング曲「ユースケの唄」である。この曲はゲーム内の主人公の行動や言動に大きな関わりを持つ、いうなれば物語の大きなカギだ。「ユースケの唄」を聴いた主人公の心の動きに、あるいは、目の前の幸せを第三者目線でつづった独特な歌詞に、大森の創作動機と共通するポイントがあるかもしれない。(これは勝手な憶測なので、詳しくはぜひ『シーマン2』をプレイして考えてみてほしい)

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また、MCでは当サイトの「IMAIKE GO NOW主催者インタビュー」を紹介。イベントの楽しみ方について『新しい音を見つけに来てくださいって感じかな』と返答した主催者の想いに共感したという。続けて大森は「今日が新たな音楽との出会いになってくれたら嬉しい」という旨を話した。きっと百長ファンもそうでない人たちにも、この日、新たな出会いはたくさんあったのだと思う。

(文:東憲吾 写真:郡元菜摘)

 

The Skateboard Kids (valentinedrive/15:50〜16:30)

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valentinedriveは演者とお客さんの間に段差がなく、そのフラットな距離感がバンドのリラックスした雰囲気とよく合っていた。メンバーは靴を脱いで裸足になると「Coastal Hill」から演奏を始める。スペーシーなシンセと雄大なドラム、そして楽器のようにすべらかなHioki(ヴォーカル/ギター/キーボード)の歌声が絡み合う。アンプやドラムに飾られた電飾の光がきらきらと浮かび上がり、真夜中にふと目が覚めて、まだ夢の中にいるときのような心地良さだった。肩の力が抜けるリズムに自然と体を揺らしたくなる「Laundry Lighting」を終え、「土曜の昼間からありがとうございます。一日長いので、お酒飲んで楽しめたらいいなと思います」と挨拶するHioki。「名古屋の街の歌を歌います」と話した「Somewhere」ではその場にいた人それぞれが重ねた街の景色があったことだろう。おかしな夢から目覚めた瞬間を切り取った新曲「Dreamend」ではループするフレーズのなか、夢だからこその支離滅裂なストーリーが進んでいく。浮遊感のあるサウンドがその世界を引き立てた。

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終盤になると「名古屋のバンドとして、IMAIKE GO NOWに出られて非常に嬉しいです。去年は百長が出てるのを羨ましく見てたので(笑)」と話し、アコースティックギターが耳に残る「Bonfire」、そして「Saihate」で締めくくった。先のMC以外にも、「この二日間の楽しい気持ちが消えないように」と話したり、IMAIKE GO NOWのステージに立てた嬉しさを何度も口にしていたのが印象的だ。ノスタルジックで優しい手触りながら完成されたグルーヴに、12月10日のワンマンが待ち遠しくなる40分だった。

(文:青木美穂 写真:永縄貴士)

 

mudy on the 昨晩(TOKUZO/16:20〜17:05)

ライヴが始まったその瞬間、フロアはすぐさま音の嵐に包まれた。「ゴーナウッ、いくぞー!」というフルサワヒロカズ(ギター)のかけ声に観客たちは応え、思い思いにノリ始める。いきなりスピードMAXのジェットコースターに乗り込んだようだ。ドラムが刻む強烈なビートに、一糸乱れぬベースライン、ドラマチックなノイズワークがシンクロする。その流れにぴたりとハマる、扇情的で美しいギターの旋律。メンバーは熟練の技術と“あうん”の呼吸で、エネルギッシュな演奏を繰り広げていく。

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中盤のMCタイムで「あんかけおじさんのイベントです。ありがとうございます」などと主催者への愛(?)を語るフルサワ。国内インストバンド界ではもはや重鎮の感があるmudy on the 昨晩だが、やはり地元(とそこで生活する人々)への想いは人一倍あるのだろうな、と思わせる楽しげな語り口だった。そして後半戦に移ると、パフォーマンスはさらにパワフルになり、観客たちに息をつかせないダイナミックな音を作り上げていく。これ以上熱気は上がるのか?という問いを軽々と越えていく音の熱量。そのアツさが観客一人ひとりに伝わり、フロア全体を燃え上がらせているように感じた。言葉を介さない、音だけによるフィーリングのやりとり。その応酬が目に見えるようだった。

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メンバーは最後の最後までフロアを揺らし続け、終わりの一音を鳴らすと颯爽と去っていた。終演後、次の会場へ移るときに見えた観客たちの満足げな表情が、そのライヴのスゴさを物語っていた。やはりmudy on the 昨晩という存在は名古屋に欠かせない。そう思わせるに足る、圧巻のライヴだった。

(文:東憲吾 写真:郡元菜摘)

 

Two Lead (valentinedrive/17:10〜17:50)

「Please be」で口火を切ると、直前に出演したThe Skateboard Kidsのドリーミーな雰囲気とは打って変わり、カラッとしたサウンドでvalentinedriveを満たしたTwo Lead。J-69(ヴォーカル/ギター)の歌声はまっすぐ、大らかな響きだ。シャイなお客さんが多い印象のIMAIKE GO NOWだが、自然と体を揺らし踊る人が増えていく。お酒を片手にしている人が多いのは、音に身を委ねて踊れるスカバンドを求めてここに来たからだろう。

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フィッシュマンズのカバー「いかれたbaby」を終えると「Two Leadです!valentine driveへようこそ!」と挨拶する大楠利信(トロンボーン)。日ごろから彼らを応援している人も多いのか、笑顔でステージを見つめるお客さんばかりだ。哀愁漂う「Segment」やノスタルジーな雰囲気の「BGM」など、演奏がすすむにつれてメンバーもよりのびのびとプレイし、ライヴハウスの空気がアットホームなものになっていった。「あぁ、素晴らしきかなこの世界」では軽快なリズムに合わせ、聴く人の背中を押す人生賛歌を高らかに鳴らした。

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配信限定の新曲「エイプリルフール」ではMVでダンスを披露したことを報告し、サビにさしかかるとキャッチーな振付を実際に踊って見せる大楠。その出来栄えにJ-69は30点と手厳しい評価だったが、そこは持ち前の愛嬌でカバー。華やかで軽やかなサウンドが春にぴったりなナンバーだった。ラストの「Can’t back sending again」ではみんなで手拍子をしたりラララと歌ったり、思いきりピースフルでハッピーな空気感の中、そのステージを終えた。

(文:青木美穂 写真:永縄貴士)

 

6EYES (TOKUZO/19:10〜19:55)

観客の顔面を自分の腰にゴリゴリと押し付ける。そのまま腰を振る。なにかにとりつかれたようにクネクネと踊る。そして、しなやかな肢体でセクシーポーズを何度もキメる…。ライヴ後半における土屋主税(ヴォーカル/キーボード)のダンスパフォーマンスである。

始まりはゆるやかだった。落ち着いたキーボードの音色をイントロにライヴがスタート。少し気だるいグルーヴがフロアを満たしていく。続いて「パーティの帰り道は真顔で」が披露され、狂気じみたギターの“泣き”が響き渡る。パンクロック、ガレージロック、サイケデリックロック…それらの要素がすべて含まれていて、しかしどれにも寄りかかっていない、オリジナルなロックンロールサウンドだ。観客たちは狂騒のギターと心地良いバックビートに導かれるようにして、だんだんと体を揺らし始めた。そして、MCを挟んでライヴが後半に移ると、明らかに潮目が変わっていく。

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十分に熱が上がったのを確認したのか、急にフロアへ降りる土屋。それを囲む観客たち。そこで起こったのが、冒頭に書いたキレッキレのダンスだ。土屋のその姿には“これがロックスターだ”と確信してしまうほどのカリスマ性があった。だから観客たちは棒立ちではいられない。動きに大小の違いはあれど、あっちもダンス、こっちもダンス、といった狂騒に似たノリが巻き起こる。特に終盤はものすごかった。土屋の叫び声に触発されて観客が吠え、熱々のダンスグルーヴがそのコミュニケーションを後押しして、ついに盛り上がりは頂点に達した。その大きな渦中にいたとき、なんだかとんでもないものを見ているな、という気持ちになったのを覚えている。

終演後、転換のBGMが流れ出しても、拍手はなかなか鳴り止まなかった。6EYES=名古屋インディーシーンのリヴィングレジェンド。その異名に偽りはなかった。

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※今回は諸事情により、後半のライヴを撮影していません。申し訳ございません。マッドなダンスの様子をぜひお見せしたかったのですが…。気になった方は直近のライヴに足を運んでみてください!

(文:東憲吾 写真:永縄貴士)

 

qujaku(今池リフレクトホール/19:40〜20:10)

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静岡発のダークサイケデリックバンド、qujaku。海外からの評価も高い4人が見せたのは、目が離せなくなる強烈なステージだった。「GYAKUSHI」から始めるとShuya(ヴォーカル/ギター)の歌声がハウリングのように響き、 Soushi(ギター)は目の前のドラムセットを和太鼓さながらの勢いで叩く。ドラムとユニゾンしたリズムは鼓動が大きく脈打つようにドクドクと体に響いた。Hiromi (ベース)は大きく足を開いて腰を落とし、射抜くような視線で客席を見つめる。Shuyaは時折手をひらりと動かしたりいたずらに舌を出したり、この瞬間を楽しんでいるようだ。不穏なサウンドとかけ離れた無邪気な姿は、思いのまま空間を操っている支配者にも見えてゾクゾクさせられた。最初は遠目に見ていたお客さんも、引き寄せられるようにステージに近づいている。

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「はじめましてqujakuです。今日はありがと~。ユーロツアーに出るので1~2ヶ月は日本にいないけど、大きくなって帰ってくるからまた会いましょう」と、演奏中とはなんともギャップのあるゆるい口調で話すShuya。そのまま「とばしていきましょう、踊ろうぜ~」と楽しそうな笑顔で「MEI」へ。毒々しいピンク色の照明のなかで4人のグルーヴが合わさって、脳みそに直接アドレナリンをぶち込まれているような、規格外の中毒性に酔わされる。ラストは「おい今池…殺すぞテメェら!」とShuyaがシャウトした「ZyouK」でクライマックスを迎えた。ドラム以外のメンバー全員が手すりを乗り越えフロアに飛び出し、Soushiは髪を振り乱しながら転げまわる。壮絶なプレイを見せ付けたあとは、「I Iike you,I love you,Nagoya」とチャーミングに去っていった。個性派が揃うIMAIKE GO NOWの中でも、とりわけ異質な音楽体験だった。

(文:青木美穂 写真:永縄貴士)

Official Site

http://imaikegonow.com/

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syachirock


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