HOME MusicInterviewHave a Nice Day! スペシャル・インタビュー《後編》~東京で起こした巨大なパーティーを地方へ~

Have a Nice Day! スペシャル・インタビュー《後編》~東京で起こした巨大なパーティーを地方へ~

ディスコ・ロックバンドのHave a Nice Day!が、11月9日に4thアルバム「The Manual(How to Sell My Shit)」をリリースした。その発売タイミングのスペシャルインタビュー前編では、これまで様々なカルチャーを巻き込んでシーンを作ってきた活動について振り返りながら、なぜハバナイの楽曲で誰もがシンガロングして熱狂するのかについて話を聞いた。後半では前回の延長線上の話に加えてニューアルバムの制作秘話を、バンドの中心人物でありボーカルの浅見北斗に語ってもらった。前回同様、スタッフの長州ちからも取材に参加している。

(取材、文:菊池“カフカ”嘉人 インタビュー・ライヴ写真:永縄貴士)

 

ワンマンで「おめーは大森靖子の前座でしかねーんだよ」とものスゴい剣幕で野次られたんだよね(笑)


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 ――浅見さんが音楽をはじめたのは就職後と遅かったんですよね。最初はサンプラーでトラックを使って日本語ラップをしていたそうですが、そこからバンドスタイルのエレクトロサウンドと、メロディー重視の音楽に変化していったのはなぜですか?

浅見北斗:当時はヒップホップをよく聴いていたんだけど、ラップだけだと自分の表現として息苦しくなってきて。さっき話した「フォーエバーヤング」にしても歌詞だけでは成り立たなくて、あのメロディーがあってはじめて機能するんだ。だから曲や歌詞をどんどん作っていったら、自然とメロディーの強い楽曲になっていたね。キャッチーじゃないと届かないなと。それとハバナイをやり始める頃に聴いていたのはDigitalismやThe Shoes、MGMT、Black Kidsなどのエレクトロなサウンドにキャッチーなメロディーがある曲が好きだったから、その影響は大きいかも。あとは2000年代のはじめに盛り上がったエレクトロクラッシュというジャンルもデカかったね。

 

 

――なるほど。例えば浅見さんはトラックを作る才能もあるので、DISCLOSUREのようにトラックだけを作りボーカルはゲストに任せるという選択肢もあったと思うんです。けれど浅見さんはトラックも歌詞も自分で作り、ボーカルとして歌っています。それもメロディーや歌詞を大事にしているからですか?

浅見:やっぱりメロディー、歌詞、トラックが三位一体となってハバナイの音楽になるし、だから客がずっとシンガロングしている現象が起きてるんだと思う。あとは曲のタイトルや歌詞に、ハバナイのアイデンティティーをちゃんと体現したものにしたいとも思っていて、それはLCDサウンドシステムの「Losing My Edge」という曲の影響なんだ。その象徴的な曲が「Blood on the Mosh Pit」で、これはオレたちと客が作りだすフロアのことを表している。そういう意味でも自分が表現する時は歌詞がないと駄目っていうか、もともとはパンクのアティチュードに憧れて音楽を好きになったからインストでは伝えきれないんだ。

――そうした楽曲に魅了されてファンはライヴに足を運びますが、映画「モッシュピット」の中でファンに焦点があたっていたのは驚きました。「これ(リキッドのライヴ)は俺たちが買い取ったパーティーだから」とファンが自分で作ったフライヤーを配るシーンは印象的でした。またO-WESTのワンマン前には、一人でも多くの人に行ってほしいとハバナイの思いを原稿用紙に綴った文をWEBにアップするなど、ファンが自主的に動いていて、観客自身もハバナイの当事者になっているんだなと感じます。

浅見:確かにハバナイのファンは他のバンドとは違う感じがある。バンドメンバーでもないのにまるで自分のイベントのようにネットで宣伝してくれたり、物理的に動いてくれているのは驚くよね。客をお客様扱いするバンドもいると思うんだけど、ハバナイは全くしないからそこらへんも独特な関係性になってるのかなと。俺はファンをゴミな連中扱いするし、向こうもオレをクソ野郎扱いするし(笑)。O-WESTのワンマンの時に大森(靖子)さんがゲストで出てくれたんだけど、そのライブ中に客から「おめーは大森靖子の前座でしかねーんだよ」とものスゴい剣幕で野次られて(笑)。ライブ中も野次がめちゃくちゃ飛んで来るけど、それはオレを本気にさせたいからだと思うし。そうしたバンドと客のバチバチの感じがめちゃくちゃ楽しくて最高だなって。それが客の中でも伝染していて、本気だからキレるし、本気だから当事者になってしまうんじゃないかな。

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地方でライブをすることによって、その土地特有のダイナミズムと熱狂が生まれつつある


――ではニューアルバム「The Manual(How to Sell My Shit)」の話にいきたいと思います。今作を発表するにあたって1つのテキストをWEBにアップしました。そこにはアルバムの帯が東名阪で行われるリリースパーティーのチケットになることが書かれていました。そうした仕掛けを用意した思いを話してもらえますか?

浅見:東京以外の場所でもあの熱狂を生みだすことはできるはずだから、リキッドでやったことを空気感も含めて地方で作りたいと思ったんだ。今回クラウドファンディングをしなかったのも自分が住んでいない街でやるのは押し付けがましいなと。やり方として新しい訳ではないけど、全国流通しているアルバムがリリースパーティーのチケットとして直結しているのは分かりやすいから。ハバナイを知らない人たちに足を運んでほしいから、名古屋と大阪はアルバムをもってない人も安く入れるようにしてるんだ。

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――今は地方に目が向いているんですね。

浅見:東京のライヴハウスの規模は大きくなっているけど、それを続けてもいつか天井が見えてくるだけだから面白くないし、東京においての勝算はある程度あるんだよね。だから目先を変えて、今年から積極的に地方でライヴをしてるんだ。今回地方でパーティーを組んでしっかり反響があったから、場所を変えることによって生まれるダイナミズムみたいなものがあると感じていて。東京のあの感じは東京でしか生まれないかもしれないけど、大阪、名古屋でもそれに近い、もしかするとその場所でしか作れない熱狂があるのかなと。

 

遅い楽曲の方が強力にシンガロングできるから、強烈な一体感が生まれる


――地方でのライヴを継続して種をまいていけば、他の街でも必ず実現するはずです。東京だから生まれた熱狂ではなく、ハバナイがいたから生まれたものだと思うので。ちなみに今作もBPMはメロウな楽曲が多いですが、そこはかなり意識して曲を作ったんですか?

浅見:BPMの速い曲で踊ったりモッシュが起きるのって普通だから、リズムの速さはかなりこだわってるね。それに遅い曲の方が強力にシンガロングできるから、強烈な一体感が生まれるんだ。モッシュは楽曲の速さによって起きると思うんだけど、シンガロングになるとやっぱり楽曲の強度だからさ。BPMを遅くしてもハバナイなら今の熱狂を持続させることは可能だと思うから。

 

 

今作はミニアルバム『Dystopia Romance 2.0』にも収録されている「LOVE SUPREME」と「NEW ROMANCE」を軸にアルバムを作ったそうですが、なぜこの2つに焦点をあてたのでしょうか?

浅見:この2曲でこれから先勝負しようと作った曲だったから、フルアルバムでもちゃんと機能させてみたかったんだ。それと「LOVE SUPREME」と「NEW ROMANCE」が軸にあるアルバムはイメージがすごく湧きやすくて、今は多くの人に知ってもらえる時期でもあるから最適かもしれないなと。2つともPVがあがっていてシングル的な扱いの曲だから、今作ではじめてハバナイを知る人にも絶対に聴かせたかった。

 

 

 

――その2曲が入っていることでアルバムとして統一感がありますよね。オープニングからエンディングまでしっかり物語があるというか。それと今回はすごく低音が効いているので、聴いていてとても気持ち良いです。

浅見:それは今回のほぼ全曲をworld’s end girlfriend(ハバナイが所属するレーベルのボスでありアーティスト)がアレンジとミックスしてくれたのが大きい。結構アレンジを加えているものが多くて、原曲と全然違う曲もあるんだ。音に関しても彼が調整してくれていることで、アルバムを通して統一感のある音質になっていて。だから今作はワールズ・エンドと二人で作ったといっても過言じゃない。

 

「BLUE MIRROR BALL」のようにBPMがメロウでもフロアが爆発する姿が浮かぶ曲は、絶対に入れたかった


――終盤に「BLUE MIRROR BALL」が入っている事で、よりアルバムがドラマチックに仕上がっていますね。こうしたリード曲になりそうな曲がアルバムの終盤に入っていることは、ハバナイの強さだなと感じました。

浅見:曲順に関しても主観的な自分の目線と客観的なワールズ・エンドの意見を混ぜて作ったから、フルアルバムらしいドラマチックな展開になってるのかもしれない。アッパーな曲を排除して作っているからテンションの高いアルバムではないんだけど、「BLUE MIRROR BALL」のようにBPMが遅くてもフロアが熱狂している姿が浮かぶ曲は絶対にいれたかったんだ。

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――「BLUE MIRROR BALL」の〈世界がお前を認めなくても 暗闇はそれを抱きしめるさ〉、「ミッドナイトタイムライン」の〈インターネットは君に愛を伝えるために生まれた 誰もいないディストピアのどこかで呼んでいる〉という歌詞はとても浅見さんらしいフレーズですよね。

浅見:今作の歌詞に関してはシンガロングさせようと思って作っていなくて、感覚的に浮かんだ言葉をアウトプットしているものが多いかな。だから自分の得意な歌詞のスタイルではないんだけど、聴いた人がそれぞれ言葉のイメージを膨らませてほしい。「Blood on the Mosh Pit」は歌詞ができるまでに1年ぐらいかかっていて、昔は長い期間かけることもあったけど、今回は製作期間も短かったから最初にでてきた言葉をなるべく採用してるよ。

 

あえてネイチャーとおやホロの3マンを名古屋でして、ケリをつけたかった


――ニューアルバムのリリースパーティーが名古屋を皮切りに東名阪で開催されます。アルバムの帯があればフリーで入れる仕掛けがありますが、名古屋はネイチャーとおやすみホログラムの3マンですね。まだ名古屋では「東京アンダーグラウンド」を象徴する3組が揃ったことがないので、あえて名古屋に集めたんですか?

浅見:そうそう、大阪はネイチャーともおやホロとも行ったことがあるから空気感が分かっていて、ただ名古屋はまだ1度しかライブしに来てないから、「モッシュピット」に出ていた3組でちゃんと行った方がいいなと思ったんだ。やっぱり映画を観てくれている人がいるから、ケリをつけたかったというか。東京でやってる空気感をまずは持ってきて、名古屋でもハバナイの土壌を広めていければなと(笑)。

長州ちから:今回のアルバムはライブに行くためのチケット(帯)が付属していて、音源の先にパーティーがあって。アルバムすらもリリースパーティーを面白くするための装置だから、ハバナイの活動はどれも最終的にライヴに直結しているんです。浅見さん自体が全くCDを買わないと公言していて、フリーダウンロードすらパソコンが重くなるからしないみたいなんですよ(笑)。全部ストリーミングで聴いていて、自分が買わないCDを売ることに違和感があったから、去年クラウドファンディングによる最高の方法でドデカいパーティーを開くアイディアが浮かんだんだと思うんですよ。それがちゃんと客もめちゃくちゃ楽しめるシステムになってるから面白いんでしょうね。

浅見:ライヴありきで活動してるのは絶対あるからね。アルバムもライヴの予習で歌えるように聴いてこいよって思ってるし。これからはバンドとしての力も高めていって、モッシュが好きじゃない人たちにも届くようにしたい。まずはリリースパーティーに来て、どんなもんか観てくれよな。

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「The Manual」リリースパーティー スケジュール


・2016年11月23日(水・祝)愛知/鶴舞DAYTRIP
・2016年11月25日(金)大阪/味園ユニバース
・2016年12月12日(月)東京/東京都 WWW X

 

「The Manual」フリー・リリースパーティー 名古屋編

・日時:2016年11月23日(水・祝)
・場所:愛知/鶴舞DAYTRIP
・時間:OPEN 18:00/START 19:00
・出演: Have a Nice Day!/ NATURE DANGER GANG / おやすみホログラム
・チケット:無料【アルバムの帯持参 1drink代のみ、当日券-2drink代(1,000円)】

 

映画「モッシュピット」 LIVE VERSION 限定上映

・日時:2016年11月22日(火)、24日(木)
・場所:愛知/名古屋シネマスコーレ
・時間:両日とも21時00分上映
・チケット:1,300円
※映画「モッシュピット」DVD、本編+LIVE VERSIONの2バージョン収録で絶賛発売中

Official Site

http://three6pack.tumblr.com/

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