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asobius 「window」リリース・インタビュー

2013年にRX-RECORDSからデビューミニアルバムを発表。独自のサウンドと世界観で早くから注目を浴び、期待の大型新人として全国に名が知れ渡ったロックバンドasobius。昨年は日本語詞版と英語詞版の両方を同時収録したファーストアルバム「pray&grow」のリリース、初のワンマンライヴを開催するなど、さらなる活躍を見せた一年だった。そして今年2月25日に発売された最新シングル「window」は、い・ろ・は・すのCM曲に大抜擢。その勢いは留まることを知らない。

今回のインタビューでは、彼らの音づくりへのこだわりや、オリジナリティーあふれる世界観の秘密に迫った。常に進化し続ける音楽性――その根底には、“音楽を楽しむ”という純粋な気持ちと、“音楽を楽しんでほしい”というリスナーへの想いがあった。 (取材、文:西村理佐)

 

 

「やりたい音楽というよりは、音楽をやりたい」


――当サイトでは初めてのインタビューなので、まずバンドの初期について聞いていきたいと思います。どのようにして結成されたのですか?

 

甲斐(ヴォーカル):僕が4、5年くらいバンドをやってなくて、そろそろバンドをやりたいって思った時に、友達だったベースの海北君に声をかけたんですね。それから他のメンバーを集めるために、募集サイトに音源と活動のイメージを載せたら、ギターの髙橋君が来てくれて。早速スタジオに入ってやることになって、足りないパートに髙橋君の友達を呼んでもらったのが最初です。

 

――ライヴやブログなどで自分たちの音楽を「新しい音楽」と言っていたのですが、メンバーが集まった当初から方向性は決まっていたんですか?

 

甲斐:勝手にそうなっていったのかなと思います。特に他の人がやってる音楽だから避けようっていう気持ちはなくて。普通に自分たちのやりたいことを表現したら、それがどうやら周りから見ると人とは違う音楽だったり、新しい音楽だったというか。

海北(ベース):いいものはいい、みたいな。やろうぜっていう感じで。

髙橋(上手ギター):最初は甲斐君が作ってきてくれて。それをもとに各々のパートが、自分たちが培ってきた技術やアイディアで答えを出していった結果、今のスタイルになりました。

 

――音楽性のルーツはどういうところにあるんでしょう?

 

甲斐:僕は映画音楽やゲーム音楽ですね。ファイナルファンタジーとか、クロノ・トリガーとか。

髙橋:自分はジャムバンド。即興音楽の10分とか16分セッションを続けて、展開を目で合図して「ゴー!」みたいなのが好きだったので、そういった音楽が自分の根底にあると思います。

海北:僕はベースなので、完全にノリ重視。グル―ヴィーなものとか、アシッドジャズが好きですね。ジャミロクワイとか好きです。

杉本(下手ギター):僕は兄弟がロック、メタル好きだったので、その影響でギターを始めたんです。でも、基本的には邦楽や日本のロックをよく聴いていた覚えがありますね。

 

――影響を受けたジャンルが違うメンバー同士で、どのように作曲しているんですか?

 

杉本:ジャンルが違うとはいっても、結局は持ってきたデモに対して自分のできることをしている感じです。それぞれ好きなジャンルやルーツはあれども、音楽が好きっていう根底の部分で答えを出すくらいですね。

甲斐:ジャンルが違うことは壁にはならないというか、むしろプラスの要素だと思っています。

海北:やりたい音楽というよりは、音楽をやりたいっていう。全員そうだと思いますね。

 

 

メンバーの個性が際立つバンドサウンドへ


――最新シングル「window」について聞いていきたいと思います。全体的にシンセサイザーよりバンドサウンドが引き立って聴こえました。一方でasobiusの武器とも言える多幸感のあるサウンドや壮大な世界観が、今までに増して強くなっているように思いました。どのようにして作っていったんですか?

 

杉本:今回は僕のデモをベースに、ざっくりとした展開と構想をメンバーに投げました。楽曲の主なテーマ、シンセサイザーやイントロのギターフレーズはすでに最初から作ってありました。

髙橋:今まででメロディー以外は一番手がかからなかったと思います。杉本が持ってきたデモが割と今の完成形に近くて、ほぼ変わってないですね。後は自分たちが弾けば、自然とasobiusの音楽になる。

 

――今までは甲斐さんがデモを持ってきて、それに皆さんが味付けをしていくという流れだったと思うんですけど、今回は違うんですね。この違いは楽曲に影響を与えていますか?

 

甲斐:バンドサウンドがより前にきていると言ってもらえたのが、よく聴いていただけてるんだなと思って。よりバンドらしいサウンドに近づいていったかなとは思いますね。

海北:バンドに慣れてきたっていうのもあると思います。これまで続けてきた中で、自分のテイストを入れていいことがだんだん分かってきて。それぞれの個性が出てきたからこそのバンドサウンドになっていますね。

髙橋:後は純粋に、杉本のバンドサウンドへの造詣が深い。同期したシンセサイザーの音ですごくキレイな表現をする甲斐と、メンバーの演奏を想像しながらバンドサウンドを作り上げる杉本とでは、違いも大きいと思います。

 

 

 

 

「歌詞も含めて、みんなでゼロから考えた」


――制作期間は短かったんですか?

 

海北:そんなにかかったっていう気はしなかったよね。

髙橋:楽器はすごく早く終わった。

海北:メロディーについては、ヴォーカルとギター二人で相談しながらやってましたね。

髙橋:歌詞に時間かかったよね。

杉本:そうだね。今回は英語詞・日本語詞が混ざってると思うんですけど、そこに至るまでに全部英語詞のヴァージョンと全部日本語詞のヴァージョン、ツーパターン用意してもらって。

髙橋:ここは英語がいい、とか。ここは日本語の方が伝わるでしょう、とか。

甲斐:もしかしたらサビの頭が日本語だった可能性もあったんです。

 

――この英語・日本語を混ぜ合わせた歌詞は、前回の英語詞版と日本語詞版の両方が収録されたアルバム「pray&grow」がきっかけですか?

 

甲斐:そうですね。前のアルバムは、基本的には全英語詞の物語として完結しています。でも、スタッフやリスナーに日本語の曲も聴いてみたいと言われたんです。アルバムの内容を変にかえたくなかったので、それだったら日本語詞版を作ってしまえと。今回は最初から英語として完成させるよりは、英語と日本語を混ぜたり、日本語詞で全曲書いたりというところから始めました。

 

――前のアルバムの日本語詞版は、ライヴではやらないのですか?

 

甲斐:そうですね。あれはあれっていう感じです。英語詞版という一つの作品として完結させているので。

 

――日本語詞より英語詞の方に重きを置いているという印象があります。

 

甲斐:そんなことはないですよ。なので日本語の作詞で地獄を見ました(笑)。自分でアイディアを出してやってみたんですけど、あまり作ったことがなかったから苦労する苦労する(笑)。

海北:歌詞も歌もレコーディングも、いつもより2倍大変でした。

甲斐:だから今度発売される「window」の日本語詞が、もしみんなの耳にスッと入ってくれたら、その経験が活きてるのかなって思います。

髙橋:今回は歌詞も含めて、みんなでゼロから考えたのはデカかったよね。

 

――皆さんで楽曲を作り上げていったんですね。

 

甲斐:“このセクションの聴こえ方は英語ヴァージョンより日本語の方が好きだなあ”とか、“このBメロは英語でいきましょう”とか。“サビの頭は英語の方が好きだな”、“サビは全編日本語じゃなくて、サビの頭は英語にして、その後日本語がスッと入ってくるのが気持ちいいね”とか、話し合いながら作っていきました。

海北:前作の英詞・日本語詞の良い点と悪い点をみんなで考えて、日本語をどうやってつけるかに重きを置きましたね。

杉本:せっかくだから全員で作ろうって。

髙橋:さっき言ってたみたいに、前回は周りの声もあって、直前で「日本語版も作りたい」となったんです。それに俺たちも賛同して、甲斐が「頑張って歌詞書いてくるから」って言っても、結構スケジュールがギリギリでしっかり見れなかったのも事実なんですよね。でも今回の「window」に関してはそれがなかった。ゼロから作っていった曲なので、その過程が活きていれば幸いですね。

 

――日本語と英語の混ざる詞という点については、「universurf」が前のアルバムと今回のシングルの間にありますよね?

 

甲斐:「universurf」も一度全部日本語で書いたんですよ。それをデモにして送ったんですけど、響きが英語の方が良かったので、英語になりましたね。もちろん日本語詞で伝えたいこともあるんですけど、それよりは純粋に音楽全体の聴こえ方を気にしますね。

 

――やはりサウンドの聴き心地を重視していると。

 

甲斐:そうだと思います。「universurf」に限って言えば、爽快感、疾走感がある曲なので、どっしり言葉が入ってこなくても別にいい。曲が人に伝えたいこと、つまり曲自体の個性をつぶさない形にすることが大事だと思っています。

 

 

先行配信と“心地よい裏切り”はリスナーのために


――「universurf」はライヴ会場&通販限定発売でしたが、「windows」はiTunes先行配信&い・ろ・は・すとのタイアップです。これはasobiusが新たなモードに入ったということの証明なんでしょうか?

 

甲斐:タイアップが決まった時はすごく驚きました。しかも大手のい・ろ・は・すさん。テレビで流れて聴いた人が、すぐに聴けるようにと思ってCMとリンクする形でiTunes先行配信にしました。

 

 ――いつ頃作られた曲なんですか?

 

杉本:去年の夏ぐらいかな。その時に日本語詞と英語詞でやることは決まってて。後はいつ、どういう風に解禁しようかなと。

髙橋:粘ってみたんですよね。初めて出し惜しむというか。

杉本:そうしたらちょうどいいタイミングで、タイアップの話が来たんです。

 

――カップリング曲についても聞いていきたいと思いますが、前回のシングル「universurf」では「rise」のリミックスヴァージョンでした。今回は代表曲とも言える「starlight」をアコースティックヴァージョンで収録したのはなぜですか?

 

杉本:2年前に初めて企画をやった時、来場者プレゼントとしてアコースティックヴァージョンのCD-Rをプレゼントしたんです。その時から、シンセサイザーが入った楽曲をアコースティックとか違う形で発表したいなと思ってて。今あるレパートリーの中でみんなが一番よく知っている「starlight」を、ちょっと裏切る形で発表できたらなぁと。元の形を知っていると違いが分かるので、そこがおもしろいかなと。

髙橋:アコースティックに関しては、基本的に杉本がアレンジしましたね。

杉本:最初は甲斐さんと二人で何となくアコギ弾いて、歌ってもらいました。原曲のテンポやリズムは、だいぶ変えましたね。

甲斐:原曲だとシンセとかいろんなリズムがバンドサウンドに乗ってるんです。ただ、アコースティックをやることになったら、杉本君が結構攻めてきて(笑)。それはどういうことかというと、メロディーはある程度残しつつ、せっかくだから“違う曲!?”と思われるぐらい変えてやろうと思って。なので歌い方も変えたりしてるんです。

 

――かなり試行錯誤して、アコースティックアレンジが出来上がったんですね。

 

髙橋:アコースティックは去年、ライヴで二人でやったりもしました。

杉本:ああ、そうだね。インストアでやったこともあるし。完全に甲斐さんの声が栄えるんですよ。壮大なサウンドの中でも突き抜ける強さがあるんですけど、アコースティックだと、どれだけ良い声してるかが聞こえます。

甲斐:全然そんなことないです! はい!(かっこいい声で)

海北:それインタビューに反映されないから(笑)。

一同爆笑

甲斐:恐縮です!(かっこいい声で)

一同爆笑

 

――アコースティックアレンジをするにあたってイメージしたアーティストはいますか?

 

杉本:そういうのはなかったですね。

 

――杉本さんの根本にあるものなんですね。

 

海北:でもこのバンドやる前に、彼はアコースティック・ユニットをやってたんです。

杉本:そう。女性ヴォーカルのギターを弾いたりして。その時も打ち込みをやって、音源を同期させながら活動してました。その時に学んだことは出てるかなと思います。

 

 


 
 
「目の前のお客さんと一緒に、一つの音楽の場所を作りたい。ここで一緒に喜ぼう、幸せになろうって」


――asobiusのライヴはメンバーやお客さんがすごく幸せそうで、楽しそうな表情をしているのは印象的です。ライヴ中に意識していることや、作り上げたいものは皆さんの中に共通してありますか?

 

海北:本能のままに、じゃないですか(笑)?

甲斐:話の腰を折るつもりはないんですけど、逆に他のバンドのお客さんはどういう顔してるんだろうと思って(笑)。毎回言われることだから。なにか違うんですかね?

 

――asobiusの音楽はワーッて暴れる感じではないと思うんですよ。だからこそかな、と。

 

甲斐:ああ、浄化されてる感。

海北:音源は音源でこだわりがありますが、ライヴもライヴでのこだわりがあります。

 

――それはパフォーマンスとしてですか?

 

海北:パフォーマンスもそうですし、あとは表情とか。音源だと見えてこないものですね。ライヴでは熱量だったり、動きだったり、目で追えるものがある。それって、受け取ってくれる人にゆだねる部分が大きいと思うんですよ。だから俺らが全力で楽しんでる姿を見てもらうのが一番いいのかなって。今はお客さんの表情を見てると伝わってる気がするんです。みんな楽しい顔してくれてるから、自分たちもそれに引っ張られてる感じ。

 

――なるほど。ちなみに、甲斐さんはなぜ指揮棒を使ってライヴをされているのですか?

 

甲斐:特に役割はないんですけど。僕らは音源がしっかりしてるバンドに見られがちなんですが、ライヴでは「目の前のお客さんと一緒に、一つの音楽の場所を作る」ということを意識したくて。「ここで一緒に喜ぼう、幸せになろう」という思いから、指揮棒を振っています。

 

――盛り上げるための道具ではないと。

 

甲斐:ただ結びつきたいというか。お客さんには、自分が思うままに感じて聴いてほしいんですよ。だから指揮棒は、相手とコネクトするためのツールとして使ってます。

 

 

「名古屋は最初に来た遠征の場所で、思い入れがある」


――asobiusはよく名古屋に来ているイメージがあります。2013年は6回、2014年はもっと来ていたと思うんですが、すでに今年も2回来ていますよね。

 

甲斐:当たり前になりましたね。今月は名古屋ないんだ、っていうくらい。

海北:東京出身なので、バンドをやっていなかったらなかなか来る機会もなかったと思うんですけど。今ではむしろ慣れっこみたいな。

海北:名古屋は一番最初に来た遠征の場所というのもあって。

髙橋:それは分かる。特別感があるし、思い入れがある。

 

――名古屋に思い入れをもってくださっているのは嬉しいです。

 

杉本:後はサーキットイベントの「サカスプ」(SAKAE-SPRING)が印象に残っていて。というのも、東京だとあれくらい大規模なサーキットイベント、そんなにないなあと思うんです。とても活気づいていて、楽しい雰囲気がある。

髙橋:移動も含めてアトラクション感があるよね。

甲斐:だって本部の近くにディオールがあるとか、なかなかないもんね(笑)。

髙橋:サカスプでいろいろ見に行ったり歩き回ったことで、街そのものを知ったのはあるかもしれないです。

 

 

“浸る楽しさ”を伝えて、もっと音楽を文化として根付かせたい


――4月にはセカンドフルアルバムがリリースされるということで、そちらはどのような作品に仕上がる予定ですか?

 

杉本:もう出来上がったんですけど、すごく良い作品ができたと思います。

甲斐:今回はリード曲を選ぶのに悩むくらい、全曲いいです。どれが主軸でもいける感じですね。

 

――これからバンドとしてどうなっていきたいですか?

 

甲斐:自分達の音楽が特別だとは思っていないんですよ。出来上がった結果がこういう音楽でしたよ、と。そこはすごく大事にしたい。自分達の音楽を、みんなが素直に好きと言える環境や、もっと受け入れてもらえる土壌が作れたらと思いますね。盛り上がってなんぼ!じゃなくて、かっこいいでしょ?ってくらいの温度感。浸ることで音楽やライヴを楽しんでほしいし、音楽がさらに文化として根付いていくといいなと思います。

写真:古川喜隆

ライヴスケジュール

「high water 2015-spring」

・2015年3月19日(木) 愛知/名古屋ell.FITS ALL

「rakuten kobo presents MUSIC CUBE 15」

・2015年3月21日(土) 広島市内のライヴハウスなど

「MbS×I♥RADIO786 SANUKI ROCK  COLOSSEUM」

・2015年3月22日(日) 香川/高松市瓦町周辺

「イツエ Presents 『今夜絶対』Rlease Tour~君と五重奏~ supported by 大ナナイト」

・2015年3月29日(土) 茨城/水戸LIGHT HOUSE

「SPRING RAIN 2015」

・2015年4月11日(土) 東京/新代田FEVER

「RUSH BALL☆R」

・2015年5月9日(土) 大阪/大阪城音楽堂

Official Site

http://asobius.com/

AUTHOR

西村 理佐


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